読書 尾崎豊 [無題]
暮に納竿釣行できるかなぁと思っていたけど、
天候含め諸般の事情により断念。
まあ、そんな感じになりそうな予感があり、
大掃除もせず、読書で夜更かしの毎日。
なので、釣行記に代えて1冊簡単にご紹介。
三崎鉄 アルファベータブックス
尾崎豊が亡くなってから四半世紀。
私より一回り下の世代。
なので、「気持ちは分かるんだけどねぇ」
と言うのが正直なところ。
しかし、メロディは、頭の中で知らず知らず
何度もリピートされる程、心地よく、好印象。
逆に、敢えて歌詞を考えないようにしていたかも。
で、この本は、彼の代表曲の歌詞にフォーカスしながら、
音楽としての魅力を再考していく内容なんだわ。
著者は、尾崎が、曲先行の時代の中にあって、
歌詞を評価された書き手だったので、
衝撃的な死や内外でのトラブルなどにとらわれず、
書かれた言葉を丁寧に読み進める作業に徹している。
しかも、著者の文章が非常に分かりやすい。
構成は三部構成
一部:歌詞を一語一語、これでもかと丁寧に腑分け。
二部:ラジオ番組、読書会、ブログなど
フィクションのシチュエーションの中で、
歌詞についての論じ、読み進めてゆく。
三部:家族特に父親との関係などの背景を解きほぐす。
尾崎豊の特徴は「言葉の素晴らしさ」だと著者は言う。
当然の如く、その言葉を紡ぎ出す背景には、
何冊もの創作ノートの存在があった。
著者は、それらを含め190弱の引用文献を眺めつつ、
歌詞を解きほぐしてゆく。
ネタバレごめんだけど、
例えば「I LOVE YOU」関連の創作ノートに、
「ある日 あの子に 出来ちまったんだよ」という
フレーズが見られるそうで、これは堕胎を経験した
カップルの曲と解釈できるそうな。
私は駆け落ち逃避行の曲だと思っていた。
「15の夜」の盗んだバイクってどんなバイク?
750ccとか、ネイキッドとか、何を想像するかで
聞き手のイメージが変わって来るけど、
実は可愛い原付きのパッソルらしい。
また、「15の夜」と「卒業」は、啄木の短歌
不来方のお城の草に寝転びて
空に吸われし
十五の心
に影響を受けているそうな。
「卒業」では、「~た」という完了形の語尾から始め、
「~だろうか」と疑問系に変わり、「~だろう」系を経て
「卒業」と体言止めで終えるというかなり意図的な
作り込みもしているという著者の指摘には、
言葉を使う感性が凄いなと関心させられた。
また、彼の歌詞は不良行為を自慢げに述べることはせず、
あくまで主人公の心の動きを表現するレトリックとして
使っているという指摘にも、納得感ありあり。
読後に感じたのは、尾崎は、何かに対する苛つきを
常に心の中に感じていたが、何に対して苛ついているのか、
結局、分からずじまいだったように感じられる。
どうも、10代から抜け出せなかったのかな?
でも、そんな中、子供が生まれたことで、
冷めた心に一つの温もりを感じることはできたようだ。
แค่นี้นะครับ 以上
2018-12-30 21:49
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